2017/10/10 ART : EXHIBITION

竹之内祐幸写真展「The Fourth Wall/第四の壁」

PGIで展覧会をします。会場では、11月下旬にT&M Projectsより刊行予定の同名タイトルの写真集を先行販売致します。

小さい頃、誰もいない家の玄関から自分の部屋までのたった数歩の距離が怖くて、おもちゃやマンガをところどころに置いていた。それでも家にいるのが怖くて、親が帰ってくる時間まで近所をぐるぐるとひとりで遊んでいた。その辺の草や小さな虫達が、マンガの世界みたいに喋り出したらいいのにと思っていた。

家族旅行で写真を撮ると、上手だねと褒められて嬉しかった。写真は、大きなものも小さなものも、手のひらにおさめることができて面白いと思ったし、人見知りの僕でもカメラを持つとなぜか心強く思えた。写真を撮っていると、自分の中の苛立ちや残酷さ、孤独感がだんだん静まってくるのがわかった。そして、「自分」について考えながら写真を撮っていたつもりでも、気がつくと僕は写真を撮っている時だけ、「自分」について考えなくて済むことに気づいた。もしかしたら僕は、他者に対しての「自分」から解放されたくて写真を撮っているのかもしれない。それが本当の自由だとしたら、写真は僕にとって他者と自分の壁を超えるものになると思った。

行き先を決めずに、とにかくどこかに行って写真を撮ることを繰り返していた。いろんなところを歩いているつもりが、自然と足が土手や川や住宅街など、自分が生まれ育った環境に近い景色に向かうことが多かった。汗だくになりながらカメラを持って歩き回っているうち、季節は一週間で大きく変わることを知ったり、綺麗な景色をファインダーで覗きながら、いつでも答えは目の前にあるんだと気づいた。たまに人間を怖れないカラスや、小さな生き物に出会えることもあった。彼らはきっと自然界では「外れた」存在なのだろうけど、僕も彼らのように、世界から外れたところにいるのかもしれない。そして小さかった頃の僕と少しも変わらぬ視線で彼らを見つめながら、その時は気づかなかった気持ちや、僕と同じように生きづらかった人たちのサインを思い出していた。

第四の壁………現実世界とフィクションである演劇内の世界を隔てる、想像上の壁のこと。観客はその壁を通して
          舞台上での世界を観ている。

<トークイベント>
竹之内祐幸 × 伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)

2017年11月18日 (土) 16:00〜 / PGI / 定員30名 / 参加費500 円(要予約)
申込み方法: 電子メール、またはファックスにて下記申込先までご連絡下さい。お申し込みの際は件名「竹之内トーク」とし、お名前、ご連絡先を明記の上お申込み下さい。
申込先: MAIL. info@pgi.ac FAX. 03-5114-7936